Skip to content

不動産鑑定士が土地の査定の注意点を語る:②数量の確定【鑑定士仲介マン横山が答える・不動産査定一問一答 No.15】

不動産会社勤務経験はあり宅建士の資格は持っているものの、オフィス・テナント管理の経験しかなく仲介実務経験は0のコラビットのマーケターS、不動産業界は初めてのマーケターKが、査定業務の肝やAI査定プロの特徴を完全理解するために企画したこのコーナー。

AI査定プロの開発者の横山は、鑑定士資格を持った元仲介営業マン。彼に素人目線の質問をぶつけることで査定業務の理論やAI査定プロの強みを明らかにします。

土地の査定をする上で頭に置いておくべき2つのリスク ②数量の確定

横山:前回は、土地の査定で押さえるべきポイントのひとつ目として「権利の確定」のお話をしました。所有権や借地権など、土地についている権利を確認する大切さをお伝えしました。

次の論点として大切なのは、「数量の確定」です。

 

S:数量の確定というのは、具体的にどういうことですか?

 

横山:簡単に言えば「査定をする土地の面積が何に基づいているか?」ということです。一番正しい数字は今日の実測ですよね。ただ、査定のたびに実測するのは難しいので、登記簿の面積を採用するケースもしばしばあります。

 

実測値とかけ離れる「縄伸び」:1.5倍にズレているケースも

横山:私の経験であったことなのですが、鎌倉の土地で本当の大きさは150㎡だったのに、登記簿面積が100㎡だったことがあります。業界用語でそのケースを「縄伸び」と言ったりしますね。

 

S:建物は設計のために正確な大きさを測らなければ建築ができないので、建物面積が違うということは有り得なそうな気がしますが、土地には「実際の面積が違う」というケースがあるんですね。

 

横山:そうですね。例えば一つの土地を何筆かに分けた場合なども要注意なので、土地の権利関係を確認するのに周りの土地の登記も取って確認することがあります。

 

セットバックに要注意!査定対象は所有者の土地面積全てではない?

横山:あと注意しなければいけないのは「セットバック」が必要な土地です。セットバックは、自分の土地だけど、自分の土地として使ってはいけない土地なんです。

 

S:自分のために使ってはいけない・・?どういうことでしょうか。 

 

横山:セットバックは、自分の所有する土地の一部を道路として提供することです。建築基準法第42条で「建物を建てる場合には幅員4m以上の道路に2m以上接していなければいけない」ことが定められています。それを満たしてない場合には建物が建てられないので、自分の土地の一部を「セットバック」として提供しなければなりません。

 

S:なるほど。公道として自治体に売るわけではないんですね?

 

横山:違いますね。あくまで、自分の土地を所有権を持ったまま、提供するんです。所有権を持っているのですが、自分のためには使えず、道路として提供した、という形になりますね。

さらに、その接道が公道であればセットバック部分は道路を所有する自治体が維持管理してくれることが多いですが、私道であればセットバック部分の補修や管理などは道路所有者と協議して行わなければなりません。

 

セットバック部分には固定資産税・都市計画税はかかるのか?

S:うわ、、自分の土地なのに自分の土地として使えない、、最悪じゃないですか。まさか、セットバック部分の固定資産税も払うんですか?

 

横山:いえ、さすがにそこまでは。セットバック部分は固定資産税の非課税対象となり、申請すれば固定資産税や都市計画税が免除されます。道路提供部分は不特定多数の人が利用できるので、所有者に課税するのはおかしいですよね。申請が必要なところがまたにくいですが。

土地の価値を評価するとき、あくまでも「自分のために利用できる土地」がその対象となるので、セットバック部分があるときはその面積分を減額して査定します。

 

S:自分のものでありながら、自分のために使えず、さらに評価対象からも外すって、セットバックって土地の取引対象としても難しいですね。

 

今回は、土地の数量の確定の論点として、

 

  • 縄伸び
  • 筆別れ
  • セットバック

を確認してきました。

 

次回は、日本中に多数ケースのある「旗竿地」についてお話を聞かせてください!

 

新規CTA

「AI査定プロ」サービス資料をダウンロードする

「AI査定プロ・30分無料デモ操作会」でとりあえずさわってみる