Skip to content

開業したて・新人・事務さんでも プロの仕上がり・不動産査定書 完全マニュアルvol.3

不動産業界に飛び込んだけど、売上を立てるのが難しい・・

こんにちは、不動産査定書作成システムを企画開発している不動産鑑定士の横山です。

学校卒業後の新卒や、他業界からの転職で、不動産業界に初めて入られた方も多いのではないでしょうか。

賃貸・売買などの仲介手数料を稼ぐことが主なミッションとなっていて、売上を個人で立てなければいけないケースが多いですよね。

この記事では、売買仲介業務に必須である「売買物件の査定・査定書」にフォーカスをします。

この査定フェーズにおいて、売主や買主が納得する信頼感のある査定ができれば、売買を任せてもらい、大きな売上を立てられる可能性が高まります。

この記事で査定力を高めていただけることを願っています。

3本1シリーズの最後の記事になります。

vol.1記事はこちら

vol.2記事はこちら

売買仲介の業務の仕組み:査定業務 4.査定価格の決定(成約事例を使っての査定の仕方)

精度の高い査定をする上で「成約事例をいかに効果的に使えるか?」がカギを握ります。
成約事例からどのように査定価格を導き出すのか、解説します。

レインズ・atBBなどの成約事例を使う場合の査定の仕方

査定で最も重要なのは「事例の選択」です。

選ぶ事例によって価格が変わるのはもちろんですが、お客様への説明の質も変わりますし、信頼を得られるかどうかも変わってきます。ではどのような事例を選ぶのが良いのでしょうか?
最も良い事例は【今日成約した、対象と似ている隣の土地】です。これを紐解くと事例を選ぶ視点が見えてきます。

  1. 今日成約した:取引時点が現在に近いほど有用です。不動産価格は日々変化しています。
    直近の地価公示を見ると、北海道のある地点では土地価格が1年で26%上昇しています。したがって事例が豊富な地域・マンションについては6ヶ月以内の事例を採用するようにしましょう。
    事例が少ない場合には1~2年に時点を広げても良いですが、2年以上前のものは使わないようにしましょう。
  2. 対象と似ている隣の土地:いくら取引時点が近いとしても、条件が異なればよろしくありません。
    面積、形状、道路、用途地域等の行政条件、築年などの各条件が対象と近いものを選択する必要があります。また、対象地から近いほど、行政条件、交通条件、居住環境が類似しているので、物理的な距離も近いものを選択するようにしましょう。

さらに、不動産の取引価格には当事者の事情が多分に影響していることを理解する必要があります。

例えば、売り急いでいる売主の物件は指値交渉が大きかったり、反対に買い進みの事情により高い成約があるなどです。

これらを鑑みると、1件の成約事例から査定を出すのは危険です。複数件の事例で説明するように心がけましょう。

 

売買仲介の業務の仕組み:査定業務 4.査定価格の決定(売出事例を使っての査定の仕方)

売出価格を提案する際、ご機嫌をとりにとんでもない高値を提案してしまうと販売も長期化し、売主様・仲介会社ともに不幸です。

査定価格、売出中の競合物件などを比較して適切な売出価格を提案しましょう。

売出事例を使う場合の査定の仕方

売出提案価格を決める際のポイント
売出価格を提案する際も、どのようにその金額を決めたのかを示すことが重要です。
周辺の売出事例を提示して決定の経緯を説明できるようにしましょう。

  1. 単価感
    近隣で査定単価よりもかなり高い単価で販売が長期化している物件がある場合、その単価が売出提案価格の上限値になります。反対に、査定単価に近い単価で販売している物件がある場合には、そちらを引き合いに出してなるべく査定価格に近い金額からスタートすることを提案するのがベターです。
  2. 総額感
    査定価格は主に単価で求めますが、実際の購入検討者が重視するのは間取りと総額です。単価としては厳しいが、総額で見るとチャレンジできる場合もあります。売出事例を収集する際は、購入検討者の視点で競合物件を探すと良いでしょう。
  3. 新築との比較
    場合によっては新築マンションや新築戸建の販売価格を引き合いに出すことも有効です。
  4. ベンチマーク
    確実に対象と競合になるような物件が売り出されている場合にはベンチマークとして紹介しましょう。そちらが値下げをしたらこちらも値下げする必要がある、など値下げの布石を打つことにも役立ちます。

売買仲介の業務の仕組み:査定業務 4.査定価格の決定(事例の補正とは?)

ピックアップしてきた事例を査定価格に落とし込むために、事例の補正が必要になります。補正値の考え方や使い方を解説します。

事例の補正

例えばマンションの成約事例を5件選んだとします。
この5件が全て同じマンション内の事例だとしても、対象が20階の住戸であるのに対して事例が1〜10階の5件だったとき、これらの平均値を査定として使うと安くなりそうですね。

1階の価格は1.2倍すると20階相当の価格になる、2階なら1.18倍…といった階数補正を行った上でそれらの平均を使うと20階の正しい価格が求められそうです。
このように、各事例の条件を対象の条件に揃えた上で査定を行う必要があり、この作業で使う1.2倍や1.18倍という数値が補正値です。

マンションの補正は他にも、所在補正値、駅距離補正、角部屋補正、ルーフバルコニー補正などが必要になります。
土地の補正としては、所在補正値、道路幅員補正、形状補正、容積率補正などが必要です。
補正は難しい作業ですが、プロとしての腕の見せ所ですので是非こだわってください。

補正値は客観的な数値であることが望ましいです。階数補正も感覚的に1.2と決めるのではなく、新築時の価格表を取得して新築坪単価比率を用いて出すといった手法を用いるべきです。
土地の所在補正では、路線価比率を用いるのが簡単です。道路幅員補正や容積率補正などは難しいところなので、地価公示の鑑定評価書などを参考にしてつけると良いでしょう。

 

売買仲介の業務の仕組み:査定業務 5.提出用資料を作成(顧客の納得度を上げるのに必要な資料とは)

査定パート以外にも、売主さんに査定価格に納得してもらうための付帯資料が必要です。具体的にどのような資料が必要で、どういう記述をするべきなのでしょうか?

査定に本当に必要な付帯資料は?必要がないものは?

査定資料で大事なことは査定の内容をわかりやすく伝えることです。
中には査定書のボリュームで勝負しようと不要な資料をたくさん添付する会社もありますが、
査定の経緯を順序立てて説明ができないので、非常に読みにくい資料になってしまいます。


必要な資料をあるべき順番で提示することが大事です。

スクリーンショット 2023-05-17 17.33.33

 

まとめ:売買の成功はまず売主さんの心をつかむことから。まずは信頼感のある査定から始めよう!

なぜ媒介を取り逃がすのか、「売主に査定価格の根拠が説明できていないこと、そのため売主の信頼を得られていないこと」が、失注に繋がっている可能性が非常に高いです。


と言いますのも、弊社サービスのユーザーを観測しますと、現代の売主は匿名のAI査定のサイトなどで無料で自分の物件の売却相場を事前に調べていることが多く、
「だいたいこのくらいの価格で売れそうなのはイメージができているが、不動産業者にプロの知見から意見や査定の根拠を情報提供してもらい自信を持って売却価格を設定したい」というスタンスの方が増えているからです。


1年目から正しい営業スタンスを身につけると、後の営業成績の伸びが違います。売主さんの信頼を得るため、信頼感のある査定から始めてみましょう。

 

売主の信頼を得られない原因は「査定価格」の説明の不足にある。1年目でも顧客から見れば「プロ」。しっかりとした査定書を作り、自信を持って価格根拠を説明できるようになりましょう。

「AI査定プロ・30分無料デモ操作会」でとりあえずさわってみる

 

新規CTA