S:ChatGPTなど、一般の方々にもAIが普及する時代になって来ましたね。マーケティング的にはコンテンツのファクトチェックが必要で活用法としては限定的にはなりますが、ワクワクはしています。
不動産査定にAIを早いうちから導入していた弊社としては、こういうところはAIが得意で、こういうところはプロの知見も必要、という見解はありますでしょうか?
横山:そうですね。やはり不動産というのは、一物一価で、厳密にいえば同じものは1つとして無いものですから、物件の性質により算出が難しいケースも出てきますね。
例えば、リフォーム済みマンションは、類似事例がなく、リフォーム前の価格を補正して割り戻すしかないですよね。また、このリフォームというのが曲者で、価値をどのように加えていくかが難しいところです。
このような場面では、例えば「過去の1000万リフォームではこれくらい高く設定しても売れたな」など、ベテラン不動産マンの今までの経験値と合わせて査定していく必要がありますね。
S:そうですよね。リフォームと言っても千差万別だし、お金をかけようと思ったらいくらでもかけられるし、反対に壁紙と床を一番安いものに張り替えただけの数十万の費用の場合でも同じリフォームですから。
他に査定が難しいケースを教えてください。
横山:あとは眺望ですかね。Sさんもお分かりだと思うんですが、大都市の市街地で「5階までは隣にべったりマンションがくっついていて眺望真っ暗で、6階は隣に建物がなく開けている」みたいなケースってあるじゃないですか。
こういうケースだと5階と6階の価格格差が激しくてAIの補正値を事情に合わせて修正する必要が出てきます。
S:なるほど。私が住んでいる街でもよくそういうケースを見ます!真っ暗なところは住みたくないです・・やっぱりそういう物件は価格が下がりますよね。
横山:他にちょっとトリッキーな例で言うと、商業地での査定でしょうか。一般的に商業地では価格は高くなりがちなのですが、周辺事例が住宅地のみの場合、本来の価値より安く出てしまうので実態に合わせた修正が必要なケースが多いです。
横山:上記3つの事例に共通して言えることは、
というまとめができると思います。
個別性の強い不動産、事例が少ない地域でのAIの働きには、AIの基本的な補正値設定に加えて、不動産現場での過去物件取引の経験や地域の理解など、人間の知恵が査定に加えられるとより良いものになりますね。AIと人間の共存が大切になります。
S:ChatGPTの登場により、マーケティング領域では、コンテンツに責任を持つ・事実をチェックする・読者の目的に合わせた接点を設定するなど、むしろ人間のやるべき仕事が明確になりました。
同じように、AIによって不動産業者様の仕事が無くならないどころか、人間の「不動産取引での専門性や経験値」はどんどん貴重になっていくということですね。今日もありがとうございました。