横山:前回は、土地の査定で押さえるべきポイントのひとつ目として「権利の確定」のお話をしました。所有権や借地権など、土地についている権利を確認する大切さをお伝えしました。
次の論点として大切なのは、「数量の確定」です。
S:数量の確定というのは、具体的にどういうことですか?
横山:簡単に言えば「査定をする土地の面積が何に基づいているか?」ということです。一番正しい数字は今日の実測ですよね。ただ、査定のたびに実測するのは難しいので、登記簿の面積を採用するケースもしばしばあります。
横山:私の経験であったことなのですが、鎌倉の土地で本当の大きさは150㎡だったのに、登記簿面積が100㎡だったことがあります。業界用語でそのケースを「縄伸び」と言ったりしますね。
S:建物は設計のために正確な大きさを測らなければ建築ができないので、建物面積が違うということは有り得なそうな気がしますが、土地には「実際の面積が違う」というケースがあるんですね。
横山:そうですね。例えば一つの土地を何筆かに分けた場合なども要注意なので、土地の権利関係を確認するのに周りの土地の登記も取って確認することがあります。
横山:あと注意しなければいけないのは「セットバック」が必要な土地です。セットバックは、自分の土地だけど、自分の土地として使ってはいけない土地なんです。
S:自分のために使ってはいけない・・?どういうことでしょうか。
横山:セットバックは、自分の所有する土地の一部を道路として提供することです。建築基準法第42条で「建物を建てる場合には幅員4m以上の道路に2m以上接していなければいけない」ことが定められています。それを満たしてない場合には建物が建てられないので、自分の土地の一部を「セットバック」として提供しなければなりません。
S:なるほど。公道として自治体に売るわけではないんですね?
横山:違いますね。あくまで、自分の土地を所有権を持ったまま、提供するんです。所有権を持っているのですが、自分のためには使えず、道路として提供した、という形になりますね。
さらに、その接道が公道であればセットバック部分は道路を所有する自治体が維持管理してくれることが多いですが、私道であればセットバック部分の補修や管理などは道路所有者と協議して行わなければなりません。
S:うわ、、自分の土地なのに自分の土地として使えない、、最悪じゃないですか。まさか、セットバック部分の固定資産税も払うんですか?
横山:いえ、さすがにそこまでは。セットバック部分は固定資産税の非課税対象となり、申請すれば固定資産税や都市計画税が免除されます。道路提供部分は不特定多数の人が利用できるので、所有者に課税するのはおかしいですよね。申請が必要なところがまたにくいですが。
土地の価値を評価するとき、あくまでも「自分のために利用できる土地」がその対象となるので、セットバック部分があるときはその面積分を減額して査定します。
S:自分のものでありながら、自分のために使えず、さらに評価対象からも外すって、セットバックって土地の取引対象としても難しいですね。
今回は、土地の数量の確定の論点として、
を確認してきました。
次回は、日本中に多数ケースのある「旗竿地」についてお話を聞かせてください!