S:はじまりましたこの企画!横山先生、何卒よろしくお願いします。
横山:いや〜、緊張しますね。Sさんは厳しい質問してくるからなあ・・
S:マーケターモード全開の会議だと、めっちゃ斬りまくってますが、この企画はリラックスして紅茶片手に参加していただければ。
横山:次からは紅茶を持ってきます。よろしくお願いします。
S:今日のテーマは「価格の算定ロジック」です。
横山:ああ、いきなり大きいテーマですね・・一度にお話すると3日くらいかかるくらいのボリュームですね。
S:ですよね。多くの変数を扱いながら、査定をしていくロジックを組むので、一つ一つの個別論点も多そうなイメージです。1回のインタビューは30分で組ませてもらっているので、今日はさわりからいきましょうか。
横山:そうしましょう。
S:AI査定プロで価格を算定する要素をザックリと教えてください。
横山:これは鑑定理論の「価格形成要因」をベースにしていますね。不動産の価格が決定する要因は大きく3つあります。
一般的要因は、株価・税制などマクロ経済や国の政策・自然環境などで決まってくるマーケットの要因です。
地域要因は、地域性に起因する、用途地域や環境(街並み・周辺環境・道路幅員)の要因です。
個別的要因は、その不動産の個体的な特徴で、マンションだと所在階、方位、通風、間取り、築年数などです。土地だと間口・形状・面積・高低差などがありますね。
S:なるほど。ざっくりと大きな3つの要因から、査定のベースを作っていくのですね。オーナー側ではほぼコントロールできない指標で、非常に客観性が高そうに感じます。
横山:そうですね。マーケット全体・地域のこと・個体差。この3本柱ですね。確かに、要因そのものは定量的なものに収束されるので、客観性は高いですね。
S:例えば政治や行政、マーケットで決まるところは理解できるのですが、地域要因の「街並み」って例えばどのような観点で評価するのでしょうか?
横山:建築物の密集具合やその築年数、道路のゆとり、といったところでしょうか。これも客観化するのが非常に難しいところですが、何とか数値化していきます。
S:よく流通している情報で「〜区のどこどこはお高い」みたいなものも、この地域要因に入ってくるのでしょうか?
横山:入りますね。そういったものもなるべく数値化していきます。
S:「周辺環境」は例えばどのような観点でしょうか?
横山:スーパー、学校や病院が近いなど、利便施設の距離や数などが主な観点ですね。
S:トータルでの居住の快適さ、といったものを数値化していくわけですね。
横山:そうですね。快適さ・便利さってほんとは人それぞれなんですが、不動産の価値を決める上での一種の枠組みだと思ってください。
S:そうですよね。1つの基準に集約しないと、価格が決まって、フェアなマーケットが成立しないのですね。
それに比べれば、「個別的要因」は主観・議論の入る余地はないですよね?
横山:所在階や築年数、方位や間取りはコントロールできないですからね・・ここは比較的クリアに決まっていきますね。とはいえ、日照や通風は周りの建物との関係にもよるので、そのあたりは個体差を見ていくことになりますね。
S:例えば管理状態が良いとか、共用部分がラウンジになっていて豪華とか、そういったところは評価の対象になるのでしょうか?
横山:もちろん評価の対象になります。ただ、この辺りの項目は評価する人間によって主観的な大小が出てしまいがちなんですよね・・このあたりの要因に関しては客観評価が必要でAIによる数値化も馴染みやすいです。
S:土地の個別的要因はどのようなものでしょうか?
横山:一般的要因と地域要因は建物と同じですが、個別的要因に「間口や形状、面積、高低差」あたりの観点が入ってきますね。
S:例えば、評価を下げてしまう個別的要因として、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
横山:間口が狭かったり、細長すぎたり、四角形じゃなかったり、斜面になってたり、といったところが代表的な評価を下げるポイントですね。「宅地にしにくい」といったところが主な観点になります。
S:お話を聞いていると、不動産の価格の形成要因って、ほんとたくさんの複雑な観点がありますね。こちらの要因を頭に入れているかいないかで、査定ロジックの理解度が変わってくる感覚があります。
横山:そうなんですよ。「不動産の価値」を数値化することって、それだけ複雑で深遠なのかもしれません・・
AI査定プロでは、その複雑な観点を「補正率」として物件の査定の計算に入れていきながら額を決定していきます。次回は、「どの要因をどの補正率として計算していくか」といったロジックをお話できれば、と思います。
S:そうですね。今日はこのへんでお開きにしましょう!ありがとうございました。